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Column不動産相談事例
2023.3.31
所有権を有しないビルの貸主が倒産した場合の借主の立場 ~借りているビルの貸主が倒産した場合、テナントの立場はどうなるの?~
貸主が倒産!?
私たちは不動産取引に関する様々なご相談を受けています。
その中から一般の方も不動産業者の方も参考になる事例をまとめて
皆さんにご紹介させて頂き、安全安心な不動産取引の一助になればと考え、
シリーズ化してお伝えができればと思います。今回は、貸主が倒産した場合のテナント(借主)の立場はどうなるのかというものです。
とある建設会社が倒産したが、その建設会社が現在のテナントに貸しているビルは、
20年前にその建設会社の自社ビル兼貸ビルとして竣工させました。
しかし、その所有権は4年前に子会社に譲渡し、所有名義もその時点で
子会社に移っています。
そして、現在、その倒産後の処理について破産管財人が選任され、
破産手続きが進められている状態です。この状況で、テナントとの賃貸借契約や敷金はどうなるの?
ビルの所有権が真実子会社にあるとすれば、子会社がその所有権を取得した時点で、
子会社は特約がない限り、貸主たる地位を取得するので、その敷金も当然子会社に
承継されます。一般的なケースとして、ビルのオーナー貸主が倒産した場合のテナントの立場は、
破産法上はテナントが第三者対抗力(賃借権の登記又は建物の引渡し=借地借家法第31条)を有し、
且つ賃料を正常に支払っている限り、破産管財人は賃貸借契約を解除する事はできない(破産法第56条第1項)ので、
賃借人は引き続き賃料を破産管財人に支払っていく事により、賃借人の地位を維持する事ができます。そして、この破産法第56条の規定は、会社更生の場合や民事再生の場合にも準用されている(会社更生法第63条・民事再生法第51条)ので、
倒産手続きの中では、賃借人の立場はかなり保護されています。他方、その間に賃借人に対抗できる抵当権者などからの担保権の実行(別除権の行使=破産法第65条)などがあれば、オーナー(貸主)の変更により、建物の明け渡しを余儀なくされる事もあり得ます。
まとめ
破産法は平成17年1月1日から大幅な改正というより新破産法ともいうべき
法律が施行され、賃借人が破産した場合の賃貸人からの解約申入権を拒否し、
また賃貸人が破産した場合の賃借人の保護の強化などを図っています。ビルのオーナー貸主が破産した場合、改正前は破産管財人がテナントに対し、
破産管財人に認められた解除権を行使して賃借権を第三者に対抗できる時には、
破産管財人に上記の破産法による特別の解除権は認めないとされています。【参考判例】
・大判昭和6年5月29日新聞329号18項等(通説・判例)
賃貸不動産の所有者に変更があった場合、特約がない限り、
賃借人・新所有者間に従来の賃貸借関係がそのまま移転・存続する。 -
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